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「あの時は、あれが最善だと思ったんだよ。でも、間違ってた……。あんなこと言うべきじゃ無かった」
「……何回言わせんだよ。お前のせいじゃない。俺が弱くて情けなくて、自分の力を過信しただけ」
俺は、自分の右手を左どなりに置いた。肌寒さの中で古びたベンチは、無機質に冷たい。
あの日俺は、学校をさぼってあの場所へと向かった。ゆっくりとあの場所へと歩いていく。ゆっくり。1歩ずつ。
向かった………。
向かうはずだった。
向かえなかった。
そこに向かうことを拒んだ。
良樹にどんな顔して会ったらいいのかあの時の俺には分からなかった。別れようなんて言っておいて、今更会いになんて行けなかったんだ。
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