たくさん人間さんがいる街

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たくさん人間さんがいる街

…… 浅い川、深い川、ちょっとだけ地面を歩いたり、いろいろ通ってきたけれど、ここはどこだろう?? ちょっとだけ見てみよう… うわあ、人間さんがいっぱい! 高い建物がたくさんあって、夜中辺りなのにたくさん明かりもついていて! 誰かに見つかっちゃったら大変…!! 『お客様でしょうか?そちらにいらっしゃる方は…』 誰かの声だ…僕のことかなあ? 水の中からだ…もう一度覗いてみよう。 『これはこれは、珍しいお客様ですね。はじめまして、私はこのお堀の主ですよ。』 水の中に、お辞儀してる人間さんがいた!隠れなきゃ…! 『大丈夫ですよ、これは仮初の姿。本当は人間ではありません。』 人間さんそっくり…僕よりずっと小さくて、着ているものが、僕のいる沼の周りに来る人間さんたちのと違う…… 『着物を見たことがないのですね。そんなに不思議そうにして。とある時代の人間の姿を模したものです。』 《そうですか!はじめまして、僕、テッシーです。ここからずっと東の沼から来ました!》 あ、笑ってくれた! 『それはそれは、はるばるようこそおいでくださいました。この地域は沼や湖は特に少ないので、休む場所も無くてお疲れでしょう。どうぞごゆっくり…』 ニコニコ笑うその主さん。優しい顔をしてる。 『テッシーさん、お茶菓子などいかがですか?』 お菓子! いいなあ、食べたい!お腹空いちゃった! 『差し上げましょうね。こちらへどうぞ。』 空洞みたいな、外から見えないような場所に連れて行ってくれた。 『はい。お口に合えば良いのですが…』 どこからか取り出した箱から見せてくれたのは、袋に入った小さいふわふわの…バナナ?? 『これはお菓子なのです。この地域にもたくさんのお菓子がありますが、これも有名なのですよ。さ、冷たくしてありますから、お茶もどうぞ。これもこの地域の西にある名産です。』 わあ、美味しそう…!いただきます! 美味しい!柔らかいしすごく甘い…!! …でも、口中甘いのが残っちゃった…あ、お茶をもらおう、こっちもいただきます! 美味しいこのお茶にすごく合うなあ!!僕、気に入っちゃった! 『喜んでいただけたようで何よりです。』 優しいなあ、主さん!ありがとうございます!僕のおやつもよかったらあげよう! 『これは…落花生ですか?どうもわざわざありがとうございます。そうです、今晩はここにお泊りになっていきませんか?なんのお構いも出来ませんが…』 わあ、良いのかな?では失礼して…… 『お疲れでしょう、どうぞごゆっくり…』 たくさん寝ちゃった…! おはようございます、主さぁん!…あれ、いないや… 『おはようございます、もう明け方頃なのですね。…そんなに不思議そうにして…こちらですよ。』 あれ、真っ白できれいなお魚さんだ…!! 『本来の姿で失礼いたします。テッシーさん…お帰りになるのですね。またぜひいらしてください。私はここから出ることはできません。いつかまたいらしたときは、ゆっくりとお土産話など聞かせてください。』 また来よう!主さんに僕の棲んでいる沼の話をしてあげるんだ! 《また来ます!さよなら、ありがとうございました〜!!》 『テッシーさん、ではまたお気をつけて…!』 主さんは優しかったな…おやつもお茶も美味しくて… 僕、初めてお茶を飲んだよ! また来よう! それに、次もまたどこかに行こうかな!
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