北の山奥

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北の山奥

今日は僕のいる沼からずっと北の方の、少し西の辺りに来ました! 本当に久しぶりの大冒険! 周りは… 山がたくさん見える! それにたくさんの沼や湖、川に滝! なぜか人間さんも滝のそばにたくさん。 …みんな、泳ぎに来るわけではないみたい… お魚はたくさんいて嬉しい! でもどこも、カヌーやボードもたくさんあって、見つからないようにするのが大変…!! 『君、こっちへおいで?』 誰だろう? 山に囲まれた、この辺りで一番大きな湖に着いたみたいなんだけど… あ、いたいた! 水の奥底で前で足を組んで座っている(あぐら)…人間さんだ…!! 大変だ!見つかったら捕まっちゃうよ!! 『逃げなくてもよろしい。私は人間ではないよ。』 人間さんの姿になっていただけなんだ…良かった…!! でも、なんの格好だろう…? 一番最初の場所の、あのお魚さんの格好とも違うみたいだし… あ、この人ずっと、すごく難しい顔をして… 僕、じっと見ていたら怒られちゃうのかなぁ?失礼だったかなぁ? 『そんなにこの姿が珍しいかい?少し昔、この辺に来た修行をする人間は、皆このような姿だったよ。いまでもこのような姿の人間はいるけれどね。』 なんだ!笑うと優しそう! でも、『しゅぎょう』ってなんだろう? 僕の住んでいる沼にはいないなぁ、こんな格好の人間さんは。 あ、ごあいさつしないと! 《はじめまして、僕、テッシーと言います。ここからずっと南の沼から来ました!》 『丁寧にありがとう、私は湖の主だ。その姿は珍しい。』 僕みたいな生き物はこの辺にはいないみたい… その人は人間さんの来ないところに案内してくれた。 『はるばるようこそ。ゆっくりとくつろいでいっておくれ。』 その人が僕に出してきてくれたのは、真っ赤で小さな…木の実、かな?? それをいくつも! とっても小さいものなのに、一粒だけでも甘い香りがする! 美味しそう、いただきまぁす! …なんて言うんだろう…あ、『すっぱい』だ! 小さいのにすっぱくて、でもすごく甘くて、みずみずしい…!美味しくて、いくつも食べちゃった! 『気に入ってもらえたようで良かった。これはこの地域の名産のものだよ。まだたくさんある、良かったらお食べ。こちらは飲み物だ。ほんの少しの酸味とまろやかな甘みがある、近くの地域限定のジュースになる。こちらも良かったら飲んでみておくれ。』 ジュースと木の実のおかわりをくれたよ!ゆっくりもらおう! 『君は旅をしているのかい?どのような場所から来て、どのような場所があったのか、差し支えなければ教えてくれないか?私はここから離れるわけにはいかないから、伝手に聞いたことはあっても、実際に見たことはないのさ。』 そうなんだ… 僕の住んでいる沼のお話と、冒険のお話をすればいいんだね! 何から話そうかな?まずはね… 知らない場所に行ってみる、って、とてもいいなあ! 僕はまた今度、他の場所にも行ってみるんだ!
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