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ようやく娘が寝ついた頃、時計をみれば日付が変わっていた。
どしんとリビングのソファに腰掛けて項垂れる。ここ最近ろくに寝ていない。精神的にも身体的にも、疲れはピークだった。
ぼうっとしながら窓際に飾られた家族写真を眺める。三人で笑う幸せそのものの写真。あの頃はまさか、こんなことになるなんて夢にも思ってなかったのに。
男はため息をつきながら、気晴らしにテレビの電源をつけた。無音でいるよりは、気が紛れるかと思ったのだ。
自分の心とは裏腹の明るい女の声が響いた。どうやらバラエティ番組のようだ。
男はソファに寝そべり目を閉じる。いつ娘が泣いて起きてもいいように、最近はリビングで過ごすことが多くなっていた。テレビのチカチカとしたあかりだけが部屋を灯す。
『会いたい人に一目だけでも。その願いが今叶う!』
やたら感動的なBGMとともに流れてきたそれを聞いて、ピクリと男の肩が揺れる。
『たった5分、それでも会える! 言い残したことが伝えられる』
男はガバッと起き上がる。テレビから流れる音声と映像に釘付けになった。
画面の中で、青空が広がっている。優しく微笑む女性とモニター越しに会話する家族の絵が流れていた。
全身が震える。瞬きすらせずにそれを見つめた。
『天国オンライン、予約お待ちしています』
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