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青く丸い物体を見下ろし続けてどれくらい経つだろう。
かつては其処で暮らしていた。
誰も訪れない日もあれば、日に何千人も来ることもあった。
独特の香の匂いと薄暗い室内に延々と響く祝詞の音、一心に手を合わせる老人に、楽し気に笑い合いながら写真を取り、手も合わせずに去っていく集団。そうして通り過ぎていく人間を見つめ、祝詞を読む声が次々と変わっていくのを見守ってい数百年。ある日、つくられたその日から殆ど動かされることのなかった台座から外され、わたしは何処かへと運ばれた。
眼下に広がる青い球体―地球は、かつて自分が居た場所だとは到底思えないような単調な青い物体だ。
何やら狭い箱の中に押し込められたかと思うと、凄まじい轟音と衝撃に包まれ、気が付いたときには生まれ故郷を見下ろす位置に来ていた。以来、一定速度で回り続ける箱のなかで、誰も来ないこの場所を守っている。
私がいるこの狭い箱(人工衛星というらしい)は、世界で初めて建立された宇宙神社というらしい。
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