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丑三つ時になる前に
小さい頃、田舎のじいちゃんの家に泊まるのが好きだった。
じいちゃんは怖い話をたくさん知っていて、寝る前にそれを話してもらうのが何よりも楽しみだった。
できるだけたくさん話を聞きたくて、頑張って深夜まで起きていた。そんな俺を寝かせるために、じいちゃんもいろんな話をしてくれるのだが、一時を過ぎるとピタリと話をやめてしまう。理由を尋ねると、
「丑三つ時に怖い話をしていると、悪いものが寄ってくるんだ。だから、怖い話はそれまでにやめなきゃいけないんだよ」
と真剣な顔で答える。毎回こんなかんじだったので、仕方なく俺も、一時になるとおとなしく寝るようにしていた。
きっと、話をするのに疲れたから、適当な言い訳を考えたのだろう。内心、俺はそう思っていた。
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