丑三つ時になる前に

2/7
前へ
/103ページ
次へ
 そして、俺は高校生になった。昔からいろんな話を聞かせてもらっていたおかげで、学校では逆に、俺が怖い話をする側になることが多かった。  修学旅行で沖縄に行ったときのこと。  よくある話だけど、夜はホテルの部屋で、友人たちとコイバナや怪談話で盛り上がっていた。沖縄が心霊的にも有名な場所だからか、特に怖い話が盛り上がり、俺は皆からせがまれるまま次々と怖い話を披露していった。気づけば消灯時間はとっくに過ぎ、時間は深夜の二時を回っていた。ふと、じいちゃんの言葉が頭をよぎる。信じていたわけじゃなかったけど、なんとなく気になった。 「なあ、他にはないのかよ」  友人の一人が、布団に寝そべりながら催促してくる。雰囲気を出すために、部屋の明かりはすべて消してあった。スマホをいじっている友人が一人いて、その光だけがぼんやりと部屋を照らしていた。
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加