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死
心地好く吹く夜風。
美桜は怪物と寄り添い、その時を待った。
「フー・・・」
呼吸は穏やかに小さくなり、終わりが近づく。
怪物は動かず、
「グオン・・・」
赤目に彼女の姿を映していた。
「衛君」
美桜は自分の命の終わりを悟り、瞳を閉じる。
「もう一度だけ、あの頃の衛君に会いたかった・・・」
その時がとうとうきた。
美桜の心臓が停止すると共に、
「バサササササ・・・・・」
怪物の黒い毛が一気に弾け飛び、舞い上がる。
そして、産まれ出たかのように13歳の神谷衛が姿を現れ倒れた。
無論、衛の心の臓も美桜と同様に停止していた。
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