第一章・・・心が呼吸できる世界 (第三節・・・秘密厳守)

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「それから、  全国各地に存在する出入り口には担当者がいるの」 「担当者?」 「ええ。  私のような案内人という役割の人たちが」 「そうなんですね」  案内人———。  確かにそういう人たちがいなければ不安になってしまうかもしれない。  私の場合は那覇が一緒だったから救われたけれど。  一人で『心が呼吸できる世界』(ここ)に来たら不安で身動きが取れなくなっていたと思う。  だから惺月(しずく)さんのような案内人の人がいてくれた方が心強いと思う。 「そうだ、  突然話は変わるんだけど、 『心が呼吸できる世界』(ここ)は年中、夜が明けないの」 「そうなんですか」 「ええ。  だから、ずっと朝か昼の状態なの」  夜が来ない。  それは、どういう感じなのだろう。 「あっ、天気は現実の世界と同じで  晴れ、曇り、雨、ちゃんとあるわよ」  笑顔で惺月さんがそう言った。
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