第一章・・・心が呼吸できる世界 (第一節・・・不思議な光)

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 * * *  もう夕方かぁ……。  こういうときの時間はあっという間に過ぎてしまう。  学校にいるときはこんなにも早く感じないのに。  家にいるときは、そのときの状況による。  お父さんが家にいる。  そのときは、ものすごく時間が長く感じる。  そういえば。  今日はお父さん、いつもよりも早く帰ってくるんだっけ。  あぁぁ、嫌だ。  家に帰ったら、またお父さんに侮辱の言葉を浴びせられてしまう。  だけど。  そろそろ家に帰らないと。  それはそれで厄介なことになるだろうから。  だから、家に……。  …………。  ……無理。  やっぱり。  帰りたくない。  このまま。  このまま、どこか。  私のことを知らない。  はるか遠くへ。  行きたい。
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