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こんな状況だから引っ越しと同居はまだ躊躇われたから、とりあえず「あつまれどうぶつの森」にオンラインの家を建てた。それが僕ら二人の仮住まいだ。
「――先生。コロナはいつ収束するんでしょうね」
「さぁ、もうそれは、神のみぞ知る世界だろうね」
サードウェーブEXは終息せず、この世界線のコロナはサードウェーブDXに超進化を遂げていた。
でも僕らはもうオンラインに慣れてきた。
僕らだってオンラインで超進化するのだ。
β版のサービスでオンラインセックスだって試すつもりだ。
まぁ、あんまり、僕のキャラじゃないんだけど。
先生という存在はリベラルであるのがパターンなので、それもアリかなって。
オンライン・オンライン・オンライン!!
僕らはオンラインで新たな生命すら生み出していくんだ。
「――恩来院くん」
「――先生……!」
僕らは液晶画面越しにキスをした。
☆
「……っていう夢を見たんだけど、どう思う? 恩来院くん?」
「て、ここまできて夢オチですか! 先生! ていうか、原稿! 締め切りはとっくに過ぎているんですよぉぉぉぉぉぉぉぉっ!」
そう言って恩来院くんがZoom越しにオンラインで怒っていた。
どうしてだか僕は他人事だった。
オンラインで怒られても、どうにも現実感がないんだよね。
いやー、ほんとオンラインって難しい。
横でBGM代わりにつけていたオンライン動画ニュースに目を遣ると、緊急事態宣言の影響で新規感染者数が随分と減ってきたと報じていた。
うーん、コロナ、早くおさまって欲しいですね。
それまでは、ずっと、オンライン、オンライン、オンライン……
(おしまい)
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