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「遺影といえば、今や葬式もオンラインで開催みたいだね」
「あー、葬儀場なんて三密そのものですしね。見送りに集まった人がコロナにかかったら大変ですし、妥当じゃないですか? そもそも宗教なんてモノじゃないわけですし、サービスはオンライン化しやすいでしょ?」
「まぁ、そう言われればそうかなぁ。でもそうなったら葬儀場に祭壇作ったり、花を供えたりするのも勿体ないよなぁ」
「そりゃそうですよ。だから花だって祭壇だってオンラインでいいんじゃないですか? そもそもお花なんて美を愛でるものでしょ? 映像でいいじゃないですか?」
「――たしかに」
そうか、宗教って結構オンライン化できるのかも。
「遺影とか……まぁ、デジタル画像か」
「そっすね。写真をオンライン葬儀屋に送ったら適当に加工して遺影にしてくれるらしいですよ」
「あー、できそう。でも、一枚一枚フォトレタッチする仕事も微妙だなぁ」
「あ、なんか、この前取材したんですけど、画像認識とスタイル変換とかいう技術使ってAIが自動的に遺影に変換する技術があるらしいですよ」
「――凄いなオンライン。凄いなAI」
「まぁ、時代はDXとAIですしね」
DX押してくるなぁ。
SDGsとかも推して来られそうだな。
恩来院め。
SDGsオンライン。
ソードアートオンラインみたいだな。
「しかし、そうなりゃもう、AIがお経読んじゃえば良いんじゃね?」
「いやー、実際検討しているお寺もあるみたいですよ」
「あるのかよ!?」
「ええ、オンラインならリモートでお経あげるから自宅――ていうか自寺から一歩も出ずに葬儀場と葬儀場をめっちゃ早く梯子できるんですって」
「――なんかすごいな」
「だから、お坊さんのスケジュールが密になりすぎて、一日葬儀を十件とかブッキングされる事態になっているらしいです」
「逆にか? 凄いな寺社会。――ていうか、葬儀をブッキング言うなし」
お坊さんもZoom疲れするんじゃね?
「だからもう捌き切れない葬儀や、そこでの説法や読経をオンラインでAIに代替させようって話が出てきたんだとかなんだとか」
「まぁ、たしかにオンラインなら身体もいらないから、本物の坊さんかどうかなんてわからないからなぁ」
「そうそう。もうAIによる説法とか読経って、本物の人間と聞き分けつかないらしいですよ」
「へー、読経はわかる気がするけど、説法もか〜。お話しはAI化難しい気もするけどなぁ」
「いやいや宗教のお話なんて、大体ネタが決まっていますし、それに『わかるようなわからないような抽象的な話』でもなんとかなるじゃないですか」
「――たしかに」
いや、「たしかに」じゃねーよ。
絶対、これ罰当たりなやつだぞ。宗教舐めんな、恩来院。
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