まさか

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 さっきの官能的なキスを思い出してしまい、一人ドギマギした。  眠っている相手の唇を見てそんなことを思い出すなんて、私は変態か、相当な欲求不満か。  それにしても、あのキスは凄かった。思い出したら腰の辺りがゾクゾクしてくるほどに。  それでため息なんかこぼしてしまったせいだろう。  しっかり閉じられていたはずの瞼が持ち上がり、見つめていたのを見つかった。 「っ!」  息が止まりそうになる。 「どうした? 眠れないのか?」  ちょっと掠れた低い声は、今この状況じゃあマズイ。色気がありすぎて、なんかもう……。 「あ、すみません、平気です、おやすみなさい」  慌ててぎゅっと目を閉じる。 「全く、世話がやけるな、お前は」 「っ!?」  平気だと言っているのに、恭介さんの手は私の頭に伸びてそこを撫でる。だけどそうされて嬉しくなっているのは事実で、払い除けるなんて選択肢は絶対になかった。  やっぱり私、恭介さんのことが好きなんだ。  ドクンドクン。心臓の音が妙に響いて聞こえる。  これじゃ益々寝られない。だけど嬉しいからやめて欲しくはないし。  思わず開いた目をもう一度閉じて、うっとり、頭に触れる手の感触を堪能させていただくことにした。 「ありがとうございました。もう大丈夫です」  十分堪能してから、目を開ける。  どうにもニヤけてしまうのは、堪えようとしたが無理だった。
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