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ソファーに誘導して、吉永と二人でいた理由を訊ねた。
俺の知らないうちに発生しそうだったミスに気づいた吉永が、それを利用してひなたを誘い出したと言う。ひなたはひなたで、俺がいなくて時間を持て余すと考えたのか、同期だからと気を許してしまったのか、結局ついて行ってしまったようだ。
そんなところだろうと思った予想があまりにも当たっていて、なんだか肩の力が抜けた。
あれだけ抵抗していたらないだろうとは思ったが、吉永に対して同期以上の感情がないのだとはっきりして、一つ勝負に勝ったような気になった。
仕事中のミスをカバーするなんて当たり前のことを、私欲に繋げて利用する吉永への怒りは消えなかったが。
そこまで話してやっと、俺の帰りが今日だったこと、あんな場所を歩いているはずもなかったことを言及された。
更には、俺が一杯飲んで帰ろうなどと思っていたと勘違いしたひなたの呑気さに、まだどこか忌々しく感じていたものまでするっと削ぎ落とされてしまった。
吉永は、本気でホテルかどこかに連れ込もうとしていたというのに。
全く呑気な女だ。
そこも可愛いのだけれど。
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