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デートみたいで嬉しすぎるっ!
この車で恭介さんとドライブなんかできたらいいなあ、と暫し妄想に浸っていると、隣から小さな呟きが聞こえてきた。
「さすがに腹が減ったなぁ」
そうだ、私は美保としっかり食べてきたけど、恭介さんは残業で何も食べていなかったんだっけ。呑気に妄想してる場合じゃなかった。
「すみません、お疲れなのに」
「ああ、そういう意味じゃない。ただの事実だから気にするな」
「……そうだ! 私チョコレート持ってました。食べます?」
恭介さんが好んで甘いものを口にするとは思えなかったが、少しくらいお腹の足しになるかと思い訊ねた。
「じゃあ、遠慮なく」
「ちょっと待ってくださいね……えっと……」
甘いもの、食べるんだな。
バッグの中にあったはずの小さな箱を手で探る。ありました、と細い箱ごと取り出して、中から包装された一粒を取り出した。
「はいっ、て今、運転中でしたね。止まったら渡します」
「……ああ、腹が減ったなあ」
なんだか今の、ものすごくわざとらしい言い方に聞こえたけど、気のせい?
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