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アラーム音で目を覚まして顔を上げると、近くに恭介さんの整った顔があって、ちょうど瞼が持ち上がるところだった。
うわぁ。
声にならなくてよかった。
起きてすぐ目の前に好きな人、というのはなかなかのインパクトだ。お泊まりしても、いっつも恭介さんの方が先に起きていたから、恭介さんの眠っているところを実は見たことがなかったし。
こういうところにやはり、本物の夫婦じゃないのだと痛感させられる。
でも今の恭介さんは、本当に起き抜けっぽい。奥二重の瞼をゆっくりと瞬いて、現実に戻ってくる途中のような。
でもそれを無理やり急かしているからか、ちょっと怖い般若顔だ。
「恭介さんも寝れました?」
「ああ……寝てしまったな」
体を起こした恭介さんの声は、少し掠れていた。
顔は般若なのに、寝起きの気怠さには緊張感のかけらもなく、それが対照的すぎて笑ってしまう。
「ふふ。お昼寝をすると仕事の効率が上がるらしいですよ?」
「だといいな……ひなたは? 大丈夫か?」
テーブルの上に出しっ放しにしていた手に、恭介さんの手が重なった。
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