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週明けからは仕事を頑張った。と言っても、私がやるのは決まった生産数に対しての部品の発注が主であって、種類は多いもののそれほど難しいことではない。
だからいつも通りのことをしただけなのだが、とにかくミスがないよう今まで以上に十分気をつけた。桁を間違えて誰かに付け込まれるなんてこと、二度と御免だし。
それに、恭介さんに認められたいのが一番だった。簡単なことしかやってはいないが、とにかくちゃんと真面目にやっているのを見てもらうくらいしか今やれることはないから。
でもそうやって仕事をしたら、なんだかいつもよりずっと充実した一週間になった気がした。
普段より捗ったおかげで時間ができて、恭介さんの元へ行った。
恭介さんは週明けこそ私の体調を心配してくれたけれど、大丈夫という言葉に嘘がないとわかると、鋭い目を僅かに細めて指示をした。
「資料室の整理を。急ぎじゃないが、来月中に終われば助かる」
課長の顔で、部下の私にそう言った。
「は、はいっ、がんばりますっ」
一瞬、ひいっと出そうになった声を飲み込んで返事をした。
分厚いファイルが棚を埋め尽くしている資料室の整理。骨は折れそうだが、やれないことはないだろう。誰も手がつけられないでいたのなら、頑張りを見せるチャンスでもある。
頑張るぞ!
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