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待ち合わせの居酒屋に着くまでに、美保には話した。
私と恭介さんの仲が嘘臭いと気づかれ見破られるんじゃないだろうか、と思っていることを。
だが美保は否定した。
夫婦の関係なんて他人にはわかりっこないから平気だ。それに婚姻届まで提出しているのだし、誰がなんと言おうと、もう夫婦なんだからと。
そう言われて納得した。確かに、誰がなんと言おうと、離婚が前提だろうと、今現在私と恭介さんが夫婦であることは法律的にも認められているのだ。
「てことで楽しく飲もっ」
「そだね」
美保と一緒だからと安心して付いて来ただけだったが、到着してみればちょっとオシャレな個室のある居酒屋だった。
「こんなとこあったんだね」
「うん、いいでしょ? ここ。こないだ旦那と来てみたんだけど、デートでもいいよね」
確かに。
案内されたのはテーブル席で、ゆったりめのソファーがあるから六人は余裕で座れるだろう。隣同士の壁もしっかりとあり、入り口には可愛らしい暖簾が掛けられていて通路からも中が見えにくい。
カラフルなガラスの嵌められた丸いライトがぼんやりと室内を照らしていて、可愛らしく甘い雰囲気がある。
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