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下着とキャミソール、二枚も隔てるものがあるのに、そこはもうピンと誘うように存在を示しているのだろう。
恭介さんの手のひらが丁度そこを押すから、思わず声が出そうになってキュッと唇を閉じた。
すると手の位置はそのままに体を離して見下ろされ、胸を揉みしだかれる。
そうされると結局小さく呻いてしまい、やはり恥ずかしかった。
だって初めてだし、今は酔ってもいないのだから。
恭介さんは、こんな私をどう思うんだろうと見上げれば、少しだけ般若顔だった。
もしかしたら、私と同じように多少緊張しているのかもしれない。
大きな手が服の間から出て行き、すぐそこにいた恭介さんの体が遠退く。
さっき私の胸を覆ったその手で、まだ乱れていないネクタイの結び目を掴んで緩めている。それで引き抜いたものをベッドの下に放ったら、シャツのボタンを外し始めた。
流れるような仕草に煽られて体を起こせば、掠めるようなキスをくれる。目を合わせるとちょっと困ったような顔で微笑んで、手首のボタンを外す姿はどこか官能的。
もう色気が凄すぎて、こんな人が私を好きだなんて、今から私を抱こうとしているだなんて信じられないくらいだ。
だけど私は願っている。
この人に、抱かれることを。
だから自分で、プルオーバーのブラウスから片腕を抜いた。
向かいから伸びて来た手が裾を持ち上げ、自然と両腕が上へ伸びる。そうやって脱がされたブラウスは、恭介さんが床へ落としてしまった。
上司になんて絶対に見せるはずもない下着姿が恥ずかしい。
「こっちも」
スカートのウエストを指先で引っ掛けて弾かれた。
一瞬躊躇えば、「皺になるぞ」と尤もらしいことを言われ、素直にファスナーを下ろす。
下ろしたはいいけれど、これを自分から潔く脱ぎ捨てるのはちょっと。
それで恭介さんに目を遣れば、羽織っていただけのシャツを肩から落として腕を抜き、床に放り出すところだった。
全ての仕草がいちいちセクシーで、心臓が休まる暇がない。
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