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「大丈夫なわけない。加減って、知ってます?」
「ああ、忘れてたな、すまない」
随分我慢してたから、なんて真面目な顔して言って、ベッドに乗り上げてまた笑う。
別に無理やりされたとか、こっちの事も顧みずだったとかなわけじゃないけど、優しくメチャクチャにされた感じで、腰が砕けて動けない。
「忘れないでください、大事っ!」
やっぱり笑っている恭介さんを見て唇を尖らせ、ごくごく水を飲んだ。
もちろん恥ずかしさを隠すためもあるが、喉がカラッカラだったから。
とにかく水が美味しい。だからって勢いよく飲みすぎてしまうのは、私の迂闊なところなのだが。
「んー!」
口の端から結構な量の水が溢れてしまい慌てるも、キャップを閉めなきゃならないし、口に含んだ水を飲み込まなきゃならないしで結局流れっぱなしだ。
「ああ、ああ。全く世話がやけるなお前は」
持っていたはずのペットボトルはすぐさま奪われ、閉めようと握っていたキャップも恭介さんの手の中だ。
それでゴクリ、漸く口の中にあった水を飲み込んでホッとした。
さっき零れたのよりもっと水を零したりしたら、さすがに本気で怒られるだろう。
口の端を流れていった水はまだ裸の胸に流れたままだけど、これくらいなら拭けば大丈夫。
「恭介さん、タオル、持って来て?」
裸だし、水が溢れてるし、持って来て欲しいな、とちょっと甘えてみる。
ペットボトルを床に置いた恭介さんが振り返り、「どこに零した?」と訊かれて素直に零れた場所を指差した。
「ここ」
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