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黒のソファーに掛けて、美保に言われた通りちゃんと二人揃って、お祝いにと頂いたプレゼントの包みを開けるところである。
美保にはちゃんと、この結婚が契約であることを伝えてあった。それでもこんなプレゼントを用意してくれるなんて。
嘘がバレないための細工のつもりだったかもしれないが、互いの思いを確かめた今は、本当に祝福されたような気がして余計に嬉しくなる。
さっき結ばれて、その後またそういう展開になってしまって、やっとシャワーを浴びた。
だからパジャマを着て寝る準備は万端なのだけれど、恭介さんの脚の間に座らされているせいで、なんとなく落ち着かない。
「軽くて柔らかいんですよね……わかった! きっとエプロンだ。私が料理ダメなの知ってるから、頑張れってことかな」
「なるほど、いい友達じゃないか」
後ろから抱きしめられているせいで、何か言うたび背中に振動が伝わってくるし、恭介さんの声が耳のすぐ傍で響いて擽ったい。
変な声が出ないようにと、努めて能天気を装う。
美保のことだから、きっとセンスのいい可愛らしいのを選んでくれたに違いない。
ワクワクしながら薄い紙の包装を開けて、ふんわりした手触りのそれを取り出して広げた。
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