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「いや、そのお……着るの初めてなんで、そ、そういうことです!」
「着てくれるんだな。楽しみだ」
ダメだ。自ら深みに嵌るようなことを言ってしまった。
「早く見たい……」
横の髪を掻き分け、柔らかな唇を耳に押し当てながら囁くこの人は、本当にあの、普段はクールに見える課長なんだろうか。
「っ、ほ、本当に、着るの?」
それはなんとか勘弁願えないだろうかと、肩越しに懇願の意味を込めて見つめた恭介さんの目の奥に、揺らめく情欲が見えたような。
待って、さっきしたよ? しかも二回。
「せっかくの上田さんのご厚意を受け取らないでどうする」
美保がくれたのは厚意なんだろうか。こんなプレゼントをもらうのは初めてで、どう受け取ったらいいか。
「いや、でもっ、やっぱり今日は」
「今日でなければいいんだな」
「んもうっ、そんなに言われたら体目当てみたいに思っちゃいますよ?」
「それは、悪かった。でも仕方ない、体も心も両方欲しいんだよ。好きだから」
「っ…………」
ずるくないですか、それ。しかも耳元から、低めた声で吹き込んでくるなんて。
ゾクゾクして、下腹の奥がきゅうっとなる。
だからって、まさか三回目?!
「まあ、今日は着るだけでいいよ。それを着て、一緒に寝よう。もう疲れたんだろう? 無理させて悪かったな」
「え? あ、はい……」
ぐぐぐ、と押されたのを急に引き下がられて、着て寝るだけならと、うっかり承諾してしまった。
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