マリッジピンク

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「着ましたけど、あんまり見ないでくださぃぃ」  あまりの潔い透けっぷりに体が縮こまる。それに肌寒い。もうとっくに夏は終わって秋だというのに、こんな格好じゃスースーして。けど体の芯は、なぜか熱いような。 「ああ、かわいいな。似合ってる」  ベビードール姿の私を見て嬉しそうに微笑む。まるで愛玩動物でも愛でるかのように。  両腕で上半身を抱きしめて隠し、ぴったり閉じた両脚の膝を重ねるように立っているから、恭介さんの期待に沿えるようなものは見せていないはずなんだけど。  それとも、三十一歳はこんな程度じゃ興奮しないのか。はたまた要所の膨らみ具合が足りなくて、本当は恭介さんのイメージ通りじゃなかった、とか。  まあ、それを今から反省してなんとかなるものでもないし。  視線を外して考えていたら、恭介さんが寄って来た。 「さあ、ベッドに入って。今日はもう寝よう」 「はい」  そんなこと言って、「眠るなんて一言も言ってないぞ」なあんて言い出して結局3回目とか?!  一人照れつつ先にベッドに入ると、恭介さんが部屋の明かりを消してくれた。  そうして私の隣に横たわって、お腹に手を回してくる。  恭介さんの触れた場所といる側が温かくて心地いい。晒している肌の面積が広いから、その熱がダイレクトに伝わってきて余計に安心するというか。 「寒くないか?」 「ええ? こんな格好させといてよく言いますよ」 「そうだな。やっぱりパジャマは着た方がいいか」 「……ほんとに寝るんですか?」 「ん? どういう意味だ?」  そんなもの、そういう意味に決まってますけど、言えませんよ。もう二回もしたし。 「い、いえ、ただの確認です。おやすみなさい」 「おやすみ」  目を閉じると、キスを一つくれた。  正直、ちょっとムラムラする。  だから、こんなんじゃ眠れないかもと思ったけれど、ピッタリくっついた恭介さんの体温が心地よくて、そこに擦り寄っていたらいつの間にか記憶はなくなっていた。
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