マリッジピンク2

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 問われて振り返ると、あの日のように恭介さんの手で、私の目線より高くに掲げられたベビードール。 「あえっ! そ、それはっ……どうしよう」  まさか捨てるわけにもいかず、どこかに突っ込んだのは覚えていたが。 「とりあえず、着てみようか」 「そうですね……って言うと思います?」 「まあ、そうだな。まだ夕方だし、飯も食って、風呂にも入りたいよな」 「うん! お腹すいた!」  そうだそうだ。今はまだ、こんなスケスケヒラヒラを着るような時間じゃないぞ。 「明日は何も、予定はなかったよな?」 「へ? あ、はい。引越しの後は疲れるだろうからって……」  お腹がすいたと言っているこのタイミングで明日の予定を確認することを不思議に思ったが、何の気なしに答えれば話題はもう食事のことに変わっていた。 「そうか。じゃあ今日は引っ越し蕎麦にでもするか」 「え、お蕎麦、買ってあるんですか?」 「いいや、忘れてた。散歩がてらスーパーにでも行ってみないか?」 「ふふ、はい!」  一人でも料理をするほど健康に気を遣っているのなら大変、とも思ったが、こういう気軽さも持ち合わせてくれるところは助かる。
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