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買ってきたお蕎麦を食べ終わり、食後のコーヒーを頂いている。でも今日は、淹れてもらったんじゃない。
「どうですか? おいしい?」
「ん。うまいよ」
私の淹れたコーヒーを口にしてそう感想をくれたのは、大好きな旦那様だ。
「ふふん」
その旦那様に褒められたら、すぐその気になってしまう。単純な人間だ、私は。
「私、これからいっぱいがんばりますね!」
「わかったわかった。がんばるのをやめろとは言わないが、俺に頼るのをやめろとも言わないぞ?」
伸びてきた片手が私の頭を撫で回した。
「ん?」
「尽くしたいタイプなのかもしれない。親父もそうだっただろ?」
確かに、浅井家に挨拶へ行った時、動き回っているのは義母でなく義父だったような。
恭介さんは最初から、何もできない私に文句ひとつ言わなかったし、何かしてくれても恩着せがましいところは一切なかった。
そういう家系?!
「さすがに小さい頃の世話は母がやってくれたような気もするが、うちでは親父がいろいろやるのも当たり前で、気づいたら自分もそうだったというか」
「お義父さん譲りだったんですね。ふふふっ」
「そうらしい。久しぶりに実家へ行って気がついた」
照れたのか、残りのコーヒーを飲み干した恭介さんが立ち上がった。
「風呂に入ってくるよ」
「あ、はーい」
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