マリッジピンク2

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「んん」  後頭部を包み込んでいた手の親指に耳を弄られ、ゾワっとする。それで身を捩れば、剥き出しになった反対の耳にキスをされ、くちゃくちゃと舐る音を吹き込まれるから甲高い声が出るのを止められなくなった。 「ひゃああっ、ああ、あ、あ」  ゾクゾクするなんてものじゃない。神経を直接擽るような刺激に耐えられず身を捩っても、耳孔を舐る動きは止まないから悶えまくる。 「かわいい」「気持ちいいのか?」「好きだよ」なんて、合間に囁きまで吹き込まれるから、おかしくなりそうだった。 「あああ、ダメダメッ、やああっ!」  擽ったいんじゃない。初めての、明らかな快感に翻弄され戸惑っている。  恭介さんの声を訊くのはもちろん好きだ。けど、音を拾うための器官をこんな風にされて善がってしまう事実を知らなかった。  自分の嬌声が酷く乱れてコントロールが効かないことに羞恥心も同時に煽られているのに、ベビードール越しの胸の先をすり潰すように擦られたら、電流が一気に体を駆け抜けていって。 「あああ!」  上体を反らして胸を突き出し、肩にぎゅっと入った力が、数秒後に抜けた。  吐き出す息が荒い。  どう考えても今、達してしまった。 「耳と胸だけで、すごいな」 「もうやだっ」  恥ずかし過ぎて両腕を顔に乗せると、その手は纏めて優しく頭上に押さえつけられる。 「どうして」 「だって、はずかしぃ」  ゆっくりと目を開ければ、愛おしむような、だけど困ったような目で私を見つめる恭介さんがいた。
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