マリッジピンク2

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「ひなた、そんな可愛いことを言って」 「だって」  いつになく控えめに微笑んで見せると、恭介さんの目頭にぐっと力が入ったのがわかる。 「いいんだな?」 「はい」  抱え上げられた足の間の潤んだ場所。そこにピタリと宛てがわれたものは熱かった。  その熱いものに、ゆっくりと貫かれる。 「んっ、ぁぁぁ、なんか……」  肌と肌、と言うよりは、もっともっと近くで密着したような不思議な心地で、それはとっても、幸せだった。 「ひなた、愛してる……」  囁いて唇を重ねてくるのは、上司でなく、大好きな人だ。  恭介さんの思いが流れ込んでくるみたいな優しい優しいキスが、私の全部を幸せで満たしてくれる。  同じものを返したくて、込められるだけの愛を込めてキスをした。  密着した状態で互いを抱きしめ合っているだけでも愛おしさはより大きくなって、幸せだけに包まれているように思えた。  暫くはそうやって抱き合ったまま口づけを交わしていたが、名残惜しげに唇を離した恭介さんが体を浮かせたことで目を開ける。  そこには、ちょっと苦しそうな、だけど笑顔の恭介さんがいた。  私に迷いはない。そう伝えたくてその笑顔に笑いかければ、両手が恭介さんの手に包まれてシーツに縫い止められた。それで愛しげに名前を呼ばれたら、お腹の奥が勝手にきゅんと応える。 「ひなた」 「恭介さん、だいすき」  私の言葉に、恭介さんの熱もビクンと反応した。  私たちは今、何にも遮られずピタリとくっついている。  それがこんなに幸せなことだったなんて知らなかったし、それを恭介さんという人と知れたことが何より嬉しくてたまらない。
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