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恭介さんの腕枕に頭を乗せて、ぎゅうっと抱きしめてくれる背中を抱き返しながら頬を擦り寄せる。
強請らなくても施されるキスからは、たっぷりの愛をもらった。
「だいすき」
「愛してるよ」
ずっと言いたかったし、言われたかった言葉だ。
それを同時に言ってしまい、おかしくて笑いながらもう一度言葉にした。
何度でも言いたくなって笑顔でもう一度告げれば、「ああ、わかってるよ」と照れ臭そうに微笑むから、そんな笑顔も大好きだな、とまた幸せな気持ちに包まれる無限ハッピーループ。
見つめ合って照れ笑いしながらも、ぎゅっと抱きしめ合う力をお互い弱めようとしないのも嬉しかった。
「恭介さんがいてくれると思うと、いろいろ安心です」
「いろいろ?」
「はい。もし……赤ちゃんができたら、とか」
自分で言って恥ずかしくなったが、さっきの行為はつまりそういうことだ。すんなりそういう結果になるとも限らないが、もしそうなったとしたら、嬉しさだけでなく不安があるのも事実で。
ああでも、それまでに少しでも家事能力を上げておかなきゃ。
「ひなたが母親か。なんとなく、複雑ではあるな」
やる気満々の私に対して、恭介さんはやはり不安の方が大きいのだろう。
「ですよねえ。でも頑張りますから私! まずは料理ですかね!」
少しでも不安を減らしてもらいたい思いで、明るく決意を口にする。
「そこはそれほど心配してない。料理なんか、慣れれば難しくはないよ」
「え、じゃあ、何が不安ですか? 私がお母さんになること?」
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