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「デートしないか?」
はにかんだような笑顔でそう言った恭介さんを思い出しただけで、朝からキュンキュンしてしまう。
照れくさそうで、だけどそれは、私にだけ見せるとっておきの笑顔なんだと思えば顔が緩んで、飛び上がりそうなほど嬉しかった。
二人で用意した朝食を食べながら、どこに行きたいと訊ねられ、ちょっと考えて思いついたのはドライブデート。
それなら海の方へ行ってみようかと相談が決まり、恭介さんの車に乗り込んだ。
恭介さんに車で送ってもらったあの日の妄想が、なんと叶う時が来たのだ。
「ふふん」
「なんだ、やけにご機嫌だな」
「だってデートですよ? まさか恭介さんとデートできるなんて思わなかったから、そりゃあ嬉しいですよ」
「そうか……まあ、俺もだ」
そうしてお互い顔を見合わせて、小さく吹き出して、私たちの初めてのデートが始まった。
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