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そこから数十分走ったら、目的地の灯台が見えた。
その下の海が見渡せる駐車場はかなり広さがあるのに、数台の車しかない。
「空いてますね」
「もう寒くなってきたからな。どうする? 降りてみるか?」
「はい」
車を降りると海風に吹かれる。けれど日射しもあるし、走行中とは違って強風というほどでないから気持ちがいい。
「ん〜!」
体を伸ばすとさらに気持ちがいい。
「気持ちいいですね」
「そうだな」
目の前の海は、キラキラ光る水面が揺れて輝いて見える。水と太陽と風とで創られた自然のアートは、ずっと眺めていられそうなほどに美しい。
「ひなた、あっちに展望台があるらしい。行ってみるか?」
「はい、行きましょう」
ちょっと涼しいなと感じたが、厚手のカーディガンを羽織っているし大丈夫だろうと頷いた。
「ああ、ちょっと待って」
車の後部座席に頭を突っ込んだ恭介さんを少し怪訝に思いつつ、大きな空を見上げていたら、また呼ばれたので一緒に歩き出した。
土を固めた階段はぼこぼこして登りやすくはなかったが、展望台からの景色は、さっき駐車場から見たのよりもっと海と空しか見えない感じがして素敵だった。
もちろん、恭介さんと見ているから、というのも理由として外せない。
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