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ソファーの肘掛けに腕を伸ばし、その上に頭を乗っけた。そうしながら浅井課長のことを考えた。
一人にしては十分ゆったりとした部屋で暮らしている。掃除も片付けもされているようだし、料理も、しているんだろうなと思うような食材が冷蔵庫にはあった。
家事代行サービスなんかを利用しているのなら別だが、この状態を自分でキープできるほどの家事能力があるとなると、彼女になる人はやはり相当きっちり出来る人でないと……。
結婚に興味がないと即答していたのも、頷けるような気がした。
勿体無いような、そうでもないような。
だって、結婚なんて自由だ。しなきゃならないものじゃない。
だったら本当に、浅井課長という人は丁度いい。私は今すぐ結婚したかったし、相手は誰だってよかった。
愛する人と結婚するその日を待っている余裕はもうなかったんだ。
ただ一度でも結婚した事実があればそれでいい。それがあれば、利里亜と花乃の前で窮屈な思いをしなくて済むんだから。
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