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ほどほどに、と言われた理由がわかったのは、昨日の夕方。
日曜の朝目が覚めて、またも恭介さんが作ってくれた朝食をいただいたあと家に帰されたのだが、その時はなんだか邪魔者扱いされたようで悲しくなった。
玄関を開けて、部屋に入るなりパジャマに着替えて、誘われるように自分の狭いベッドにダイブした。
そうやってダラけた一日を過ごした私の体は夕方には復活していて、さっさと帰れ、と言った恭介さんの言葉が、私を気遣ってのものだったのだと身をもって悟ったのだ。
チラ、と見た恭介さんは、今日も、先週と変わらずキリリとした空気を纏ってお仕事中だ。二人きりでいる時とはまるで違う感じ。
週末、私の相手をするのに疲れただろうことなんか全く感じさせないほど、恭介さんは結婚前と変わらない。
恭介さんにとったら私との結婚なんて、観葉植物の世話をするのと大して変わらない程度の変化なんじゃないか。
なんでも器用にこなせる恭介さんを見ていたら、そう思わずにいられない。
土曜の朝、美味しい朝食を頂いたあと宣言通り頑張ってはみたのだが、結局普段からやっているのといないのとでは雲泥の差があって、その差がそう簡単に埋まるはずもなかった。
だからヘトヘトだった。普通のことをしているだけのはずが、全然うまくできないし。
特に夕飯作りはしんどかった。
私の包丁捌きが危なっかし過ぎて見ている方がしんどい、と結局途中から恭介さんがやってしまうし、だけど自分でも危なっかし過ぎて恐ろしいと痛感したところだったから、反抗もできなくて。
手際の良さに感心するしかなくて、恭介さんが奥さんだったら、なんておかしなことを本気で思いかけたし。
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