夫婦ごっこ

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 いくら週末婚スタイルだとは言っても、こんな家事能力の低い私と急に二人で生活するなんてやっぱり苦痛だと、思う日が来るんじゃないだろうか。  休日のあれこれを振り返ればため息が出そうになって、唇をキュッと引き結ぶ。こんなんでよくも結婚なんか迫れたものだと、自分のしたことに改めて呆れつつ。  それに、たった三ヶ月。そう思っていたが、果たして三ヶ月も続けられるのか。  そう思ったのは、私の家事能力の低さだけが原因じゃない。  二人きりになるとドキッとするような冗談を言ってからかう、恭介さんのせいもある。  多分、私が真に受けて反応するのが面白いんだろう。  ただの上司でしかなかったときには絶対に見せなかった顔だ。そういうところを見せられると、まるで恋人にでもなったかと錯覚しそうになるからやめて欲しいのだが、向こうは私をからかって遊んでいるだけだ。大人の余裕というやつなんだろうか。そこがまた悔しいような。  でも、無理難題を持ちかけたのは私だし、相手は上司だし、強くは言えないんだよね。
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