黒いバナナ

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 普通だと思ってたんだけどなあ。  自分のことを振り返ってみても、特筆するほどの美点もない代わり、それほどの欠点もないように思えた。  性格は、悪いと批難されるほど腐ってはいないと思うし、生活だって、まあそれなり。家事は得意じゃないけど、困ってもいない。仕事だって、デキル女には程遠くてもなんとかやって来れた。ちょっと評価が甘いだろうか。  恋愛は……これはダメかもしれない。終わりはいつも、相手に決められてしまうから。それでも縋り付きたいほど好きになった相手なんていなかったから、大した痛手にもならず次にやってきた恋をなんとなく受け入れてきた。  私がそんなことをしている間に、みんなは何をしていたの?  そうやってぼんやり考えながらでも、ジョッキで飲むビールは美味しい。 「っああ〜」  喉を通った後、思わず言いたくなるこの言葉に凝縮されたえもいわれぬ感情は、やっぱりこの瞬間、自然と体から出てくるものだと思う。  一人居酒屋、上等。  電車通勤で良かった。飲酒運転にならずに済むから。
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