5220人が本棚に入れています
本棚に追加
問い詰められた緊張感と、反省させられるような恥ずかしさで目が泳いでしまう中、懸命に頭の中を整理しながら話した。
利里亜と花乃の結婚報告を受けて急に焦りが出たこと。見返してやりたい、なんて浅はかなことを考えてしまったこと。一人で飲んで恭介さんにくだを巻いて迫ったこと。取り消してもらおうと謝罪したが、なぜか契約することになってしまったこと。
その辺りを、ざっと。
「すごいねそれ。なんて言うか、二人とも、よくそんな簡単に結婚したっていうか」
「そうだよねえ……」
「でも、それで何か困らされてるとかじゃないんだよね?」
「ん? 困らされて……?」
私が困らされているというよりは、どう考えても圧倒的に困らせている側な気がする。
「そうそう、何かすごい要求をされてるとか」
それ、どんなだろう。
豪華なディナーを用意しろとか? はたまたミラクルな隠し芸を披露せよ、とか?
「ないない、そんなの」
「じゃあはっきり言うけど、体を要求されてるとかは?」
「からっ!」
自分の口を慌てて押さえた。そうして首を横にぶんぶん振る。
乗り出し気味だった美保の肩から力が抜けて、表情が緩んだ。
「そっか。ならよかった」
美保に微笑まれたら、顔が熱くてたまらなくなってきた。
「ひなたの要求を飲む代わりだなんて言ってそんなことするなら、最低だと思ったんだけど。そうじゃないならほんと、神様かもね」
「あ、なんかそれ、私も思った」
最初のコメントを投稿しよう!