夫婦ごっこ

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 問い詰められた緊張感と、反省させられるような恥ずかしさで目が泳いでしまう中、懸命に頭の中を整理しながら話した。  利里亜と花乃の結婚報告を受けて急に焦りが出たこと。見返してやりたい、なんて浅はかなことを考えてしまったこと。一人で飲んで恭介さんにくだを巻いて迫ったこと。取り消してもらおうと謝罪したが、なぜか契約することになってしまったこと。  その辺りを、ざっと。 「すごいねそれ。なんて言うか、二人とも、よくそんな簡単に結婚したっていうか」 「そうだよねえ……」 「でも、それで何か困らされてるとかじゃないんだよね?」 「ん? 困らされて……?」  私が困らされているというよりは、どう考えても圧倒的に困らせている側な気がする。 「そうそう、何かすごい要求をされてるとか」  それ、どんなだろう。  豪華なディナーを用意しろとか? はたまたミラクルな隠し芸を披露せよ、とか? 「ないない、そんなの」 「じゃあはっきり言うけど、体を要求されてるとかは?」 「からっ!」  自分の口を慌てて押さえた。そうして首を横にぶんぶん振る。  乗り出し気味だった美保の肩から力が抜けて、表情が緩んだ。 「そっか。ならよかった」  美保に微笑まれたら、顔が熱くてたまらなくなってきた。 「ひなたの要求を飲む代わりだなんて言ってそんなことするなら、最低だと思ったんだけど。そうじゃないならほんと、神様かもね」 「あ、なんかそれ、私も思った」
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