俺の家に殺人兵器がいます

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 数カ月ぶりの帰宅だった。長期出張がようやく終わり、俺はへろへろになりながら、久々に歩く家へと続く道を行く。  俺は医療関係の仕事をしている。多くのところで小さな戦争が勃発する今日だ、医者や看護師、薬剤師はいてもい足りない程。人類の進化とは素晴らしいもので、怪我は随分と早く治るようになったと思うが、それでもまだ正しい治療と薬は必要だ。それがないと、圧倒的に治りが遅い。最悪悪化し、命にかかわることもある。まあ1%にも満たない確率なんだが。  俺はこの仕事に就いていることを誇りに思っているし、それは同僚たちも同じらしい。皆で力を合わせて人を救い出した時なんて、特に気持ちがいいしほっとする。安心感と達成感、それを味わうために仕事をしているといっても過言ではない。 ──プルルルル  電話の音がする。鞄を漁ってスマートフォンを取り出しても、何も着信は来ていない。気のせいかとしまい込んで、また歩き出す。足に力が入らないせいでなかなか遅い歩みだが、意識を失っていないだけ褒めてほしい。今回の仕事は大きく、重要性の高いものだった。そのために慎重に取り組まなければならず、いつもの二倍以上の時間がかかってしまった。精神も随分と擦り減っている。  俺は、これまでと今回の仕事で多大に貢献したということで、一カ月の休暇を貰っていた。数日しか休暇が無い同僚が恨めし気にこちらを見ていたが、これは今まで真面目に努力してきた結果である。恨まれる覚えはないので、軽く睨み返してさっさとそこを後にした。 ──プルルルル   プルル、ルル…プルルルル  また、電話の音。今度は、前のに比べて若干とぎれとぎれだった。再びスマートフォンを確認してみても矢っ張り何もなくて、空耳にしては随分と不吉だなァと笑う。  やっと家が見えてきた。ふゥと息を吐き、さてもう少しだと自分を励ました。
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