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「あり、あります！ まだないけどあります！」
そんながっかりした顔しないでよ。焦っちゃう。
「いやいやいや、ないならないでええんだて」
「ちょっとあの、調達し損ねてて！ 気持ちの準備はできてますから！」
「どの辺まで？」
「えっ！？」
どの辺、ってどういう意味？ 何がどう？ 聞いていいの？
何て答えるのが正解なの？
「おっと、どうもー。よいしょっと」
後ろから来た車が、止まってパッシングしてくれた。雄貴さんは適当なお礼を口にしながら車を出し、ハザードを瞬かせた。
今日もマスタングのハンドルは重そう。
私は自分のアメスピを取り出して、火をつける。
ダメダメ、ドキドキしたってどうせ大した意味なんかないんだから。ちょっとからかわれただけ。
「ミニストップって、何か美味いもんあんの？」
「フードは大体美味しいですよ。おにぎりとかも手づくり風のがあるし」
「いいねぇ。シャケ食いてーな」
「いいですね」
やっぱり、からかってたんだよね。
どの辺まで……。
昭和区までなら、覚悟は出来てるよ。
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