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事務所の中に響き渡る秒針の音が、私を追い詰める。
……ような気がする。
ここの電波時計、秒針は1秒ずつじゃなくてスーッと行っちゃうヤツだから、カチコチなんて言わない。
言わないけど、無言のプレッシャーがヤバい。こっち見ないで、時計。
隣のデスクでは、雄貴さんが時々呻きながら必要な物品をメモに書き出してる。私は、上手くいかないウェブアンケートの設定を一旦投げ出して、オペレーションと人員配置に頭を悩ませてる。
……事務所に、二人きり。ああ、二人きりだけを抜き出せば、とってもハッピーなシチュエーションなのに……。
一体二人で何をしているのかと言うと、6月にようやく開催できる予定の、ケルベロスデビュー33周年アニバーサリーライブの企画書作りだ。もう34周年に入っちゃうけど。
このコロナ禍中、ライブの開催は簡単じゃない。今まで通りの準備だけじゃない。収容人数の規制もあるし、感染対策も加わる。
それに必要な物品を、雄貴さんはリストアップしているわけですよ。後で私もチェックする。
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