4人が本棚に入れています
本棚に追加
「いや、一緒に行く」
そう言われちゃなぁ。路駐をオススメするわけにもいかないし。
仕方ないから、私は私でiPhoneを出して検索する。結構駐車場ない店舗が多いな。
「あ、あった。このミニストップ、駐車場あります」
「お、どこだ」
「昭和区ですけど」
画面を見せると、雄貴さんが覗き込む。
「っと、見えねー」
画面が近過ぎたみたい。雄貴さんは私の手をつかんで、iPhoneを遠ざける。
「ん? おお、ここな」
やっと見えたみたい。だよね、画面近いと見えないよね。私も老眼だからわかる。
カーナビでその店舗を目的地に設定すると、すぐにウィンカーを出した。
「よし、移動だ」
こんなことして遊んでてもいいのかな、ってちょっと思ったけど、まあいいか。ここまで追い詰められたら、1時間や2時間、もう誤差だよね。
後ろから来る車をバックミラーで見ていた雄貴さんが、ふとこちらを振り返った。
「あのさ、催促じゃねーんだけど」
「はい?」
「今年は俺、チョコもらえんの?」
びっくりして言葉が出ない。
期待してくれてた、の? 嘘でしょ?
「あの、あの、えーと」
「ないのかぁ」
最初のコメントを投稿しよう!