バレンタインまで何マイル？

　大した無茶ぶりだよね。でも、わかる。手に入れた整理番号とキャパや会場の形を考えあわせて、今回はどの位置で楽しもうか、って考えるのは楽しい。早い番号だから前方を狙ってみようか、半端な番号だから、いっそ最後方でゆったり見ようか。ライブ前にそれを空想するのは楽しくて、整理番号が手に入った瞬間から、ライブは始まるんだ。
　あれこれ考えた結果、整理番号順に入場、ロビーで座席表から席を選んでもらって座席番号を渡すことにした。早いもん勝ちで好きな席が取れる、という部分はちゃんと残せる上に、どこに何番の人が座ったのかが記録できる。
　その代わり、ひと手間もふた手間も増えるんですけど。
　通常より大きな会場、少ない入場者、飛躍的に増えた手間と経費。それに対して追加できる人員数は限りがあって……私はその配分に悩んでるわけ。
　ああ、予算が憎い。予算の天井が憎い。もうちょっと人を増やしたい。でも予算は絶対だ。
　雄貴さんの手から、レポート用紙を受け取る。ここまでやってもらえただけでも、かなり助かる。