バレンタインまで何マイル？

　いつもこうなんだから。私がどう思うのかなんて考えてない。この人がここに行くって言ったら、行くんだよね。知ってる。
　でも、さっきみたいに私が疲れてる時には、私が好きなスタバのチルドカップなんかをぽん、と置いてってくれたりする。
　それ、どう思ったらいいの？
「ミニストップなんか珍しいですね」
「ほれ、CMでやってんじゃん。チョコのソフトクリーム」
「ああ……えーと、いちごとチョコの」
「それそれ。結ちゃん好きだろ」
「あ、え、はい」
　うわ、やだな。何でわかっちゃうの。こんな気配りが出来る人なんだけど、でも、我が道も行っちゃうし、こっちは振り回されちゃうじゃん。
「だで、ミニストップな」
「ご飯は？」
「ミニストップだって、ご飯は売ってんだろ」
「まあ確かに」
　コンビニなんだしね。
　嬉しいけど、バレンタインに食べるチョコレートが、ミニストップのソフトクリームかぁ。ほんとなら、ちゃんとどっか美味しいとこのを渡したかったのに。
「どうした？」
　私がコソッとため息をついたのも、見逃さない。
　空気には敏感なはずなのに、どうして何年もこのままなのかな、私たち。