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「うん」
「物理世界ってさ、今の世界と何が違うんだ？」
「血」
油ぎった焼き鳥を食いちぎりながらヒカルが言う。
「物理世界の生物は「血」が全身を流れてて、怪我すると流れ出してやがて死ぬらしいよ」
「データブロックが散っていくみたいなもんかな」
「ぱらぱらっていうよりはどろどろって感じかな？ 漫画の書き方では」
「ふうん」
「あと『ナミダ』を見せるんだって」
「ナミダ？」
「うん。感動したときや悲しいとき、笑ったときに瞳から『ナミダ』を流すんだって」
「瞳から流す？ 全然想像できないな。何のためにそんな機能があったんだろうな」
「感情を伝えるのに使ってたみたいだけど」
表情を細かく見なくてもどのような感情を持っているか、数値で見える電子人には、「ナミダ」の必要性がわからなかった。
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