第1話 ルイ・マックールからの招待状

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 今夜、ルナの小学校では、クラスごとに集まって、ルイ・マックールの弟子とり見学をすることになっている。  集合場所は、弟子とり会場――つまり、ルナの(かよ)う小学校のグラウンド。  ただし、今日だけは登校時間がいつもと正反対。ルイ・マックールの弟子取りに合わせて、真夜中に登校する。  ルナの友達はみんな張り切って、お昼ごろから学校へ行こうとルナを誘ったけれど、ルナは一緒に行くのを辞退(じたい)した。  ルナはルイ・マックールの弟子に立候補しないから、遅くとも三十分前に着けばいい。みんなの待ち合わせ時間は、ルナにとってはあまりにも早すぎるから。  そんなわけで、ルナはおうちで家族とのんびり夕食をすませてから、家を出る前に持ち物確認をもう一度だけして家を出た。 「いってきます」  ぱたんと玄関のドアを閉めて、さあ出発というところで、ルナは友達といっしょに行かなかったことを真っ先に後悔(こうかい)した。  夜の通学路は、ルナの想像以上に真っ暗。  この辺りは街灯(がいとう)が少ないことをいま初めて知った。  おまけに、いつもと違って誰ひとり歩いていない。  明るい時間には気にもしなかったことが、今だけはすべて心細い。  ルナは家の前の暗くて細い道から曲がり角まで、とぼとぼ歩いた。 「わあ……!」  曲がり角を曲がると、見たこともない優しい光であふれていた。  ちょうど、ドッジボールくらいの大きさの光の(たま)が、道なりにふわふわ、ふわふわ。いくつも浮かんでいる。  ボランティアの魔法使いの人たちが浮かせてくれた、光の魔法だった。 (すてき……。まるで魔法の世界にいるみたい……)  これなら、ちっとも怖くない。  ルイ・マックールの住んでいるところでは、毎晩こんなふうにやさしい色のライトが(とも)っているのだろうか……。  ルナは幻想的な小径(こみち)に変身した通学路に立ち止まり、しばらくの間うっとりしていた。  その頭上を、ニッコリ顔の魔法使いを乗せたほうきが、静かに夜風を切って通り過ぎた。  彼らも今日なら、魔法が使える。
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