第1話 ルイ・マックールからの招待状

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第1話 ルイ・マックールからの招待状

519e975a-e029-4cf6-b2ce-ff0a27a90904   ルナ ルナ 長い三つ編みの女の子   ルナ ルナ やさしい心の持ち主   ルナ ルナ お月さまのいちばん   きれいな夜にはじまる   思い切って 挑戦してごらん   わくわくする きみの未来へ  今夜は、世界中の誰もがドキドキして眠れない。  だって、世界一の大魔法使いルイ・マックールが、なんと百年ぶりに弟子(でし)をとるっていうのだから!  ――ことの始まりは一週間前。  それは世界中をおどろかせた、突然のお知らせだった。    『みなさん、ごきげんよう。  このたび、わたくしルイ・マックールは、およそ百年ぶりに、新しく弟子をとることに決めました。  つきましては、次の満月の夜十二時に、弟子選びをします。  参加資格(さんかしかく)はとくにありません。  人間でなくてもけっこうです。  申込書(もうしこみしょ)は必要ありません。  会場は、お近くの公園や、学校のグラウンドです。  それぞれの会場へ行って、心の中で立候補(りっこうほ)してください。  そうすれば、わたくしルイ・マックールが、どこかから見ていてその場で選ばせていただきます。  それではみなさん、次の満月十二時に。  新たなる弟子との出会いを、心より楽しみにしています。                                                           ルイ・マックールより』  このお知らせによって、世界一の大魔法使いルイ・マックールの百年を超える長い長い沈黙(ちんもく)(やぶ)られた。  このできごとは、ルナたち〈魔法使わない〉の方が多い国でさえ、大ニュースになった。 、  次の日は朝から、町中のお洋服屋さんに大勢の人が押しよせ、連日(れんじつ)大行列。みんな大急ぎで見た目をととのえた。  だって、あの世界一の大魔法使いルイ・マックールが、どこかから見ているというのだから!  おかげでお洋服はもちろん、美容室にデパートのコスメコーナーから古着屋さんまで、売り上げはどこもかしこも絶好調。  大繁盛なのはお洋服屋さんだけじゃない。本屋さんや図書館も、負けないくらいに大賑(おおにぎ)わい。  世界一の大魔法使いの弟子にふさわしい高度な魔法や、できるだけ見栄えのよい魔法の参考書が、この数日の間で大ベストセラーとなった。  みんなが夢中になって弟子になりたがる、ルイ・マックール。  けれど、詳しいことは、誰も知らない。  彼についての定説(ていせつ)といえば、以下のとおり――。  ルイ・マックールとは、若干(じゃっかん)十五歳で世界一の称号(しょうごう)()た天才といわれるべき魔法使い。  おまけにその姿は天使のような美少年というから、当時は彼を目当てに世界中の女の子たちが、彼の住むオシリス(やま)殺到(さっとう)したそうだ。  もちろん、山は大パニック。  オシリス山に住んでいた木や花の精霊たちはみんなどこかへ逃げ出して、オシリス山は見違えるほどやせた山になってしまったという。  それからかもしれない。ルイ・マックールが、みんなの前に姿を現さなくなったのは――。  だから今、彼がどこにいるのか誰も知らない。  時どき変装して舞踏会に行っているという話を聞くけれど、本当かどうかはわからない。  ああ、そうだ。百年前にルイ・マックールの初めての弟子になったカーネリア・エイカー。  彼女なら、彼の居場所を知っているかもしれない。ただし、彼女の居場所も世間には知られていないのだけれど……。
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