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まずは長袖のシャツを羽織る。 「うぐっ」 分かってはいたが、着てみると彼シャツのよう。MサイズのそらがLLサイズを着ているのだから。 袖を手首まで捲り、洗面所からタオルを一枚拝借。首から下げて、軍手と鎌を手に玄関へ。 スニーカーを履いて外に出ると、虫除けスプレーをたっぷり振りかける。 「うしっ」 玄関先の獣道を広げることから始めた。 「お客さん来たりしないのかな」 来ようと思っても、これじゃあ人が住んでるとは思わないだろう。居ると知っててもよっぽどの事がないと門から入って来れない。 普通の人なら。 「あら。こんにちわ」 獣道を女性が歩いてきた。 それもハイヒールを履き、少しタイトなスーツを着た美人。 慣れたように歩いてきて、玄関先に立つそらにニッコリ挨拶をして引戸を開けて入っていった。 「誰だろう?」 まさか彼女?年齢的にはお似合いだが、あの強面には勿体ない。 「ま、オレには関係ないか」 呟いて、雑草との戦いを開始した。
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