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太陽は高く、元気よく日差しを分け隔てなく注いでいた。
そらもその恩恵(?)を受け、汗だくで草刈り鎌をふるっていた。
やり始めると夢中になって手を止めることはない。少しずつ視界が広がっていくのが分かり、楽しくさえなってくる。
どのくらい頑張っていただろうか?
後ろでガラッと玄関が開く音がした。
「頑張ってるわね」
さっき入っていった女性だった。
「水分補給しないと熱中症になるわよ」
と、ペットボトルの水を空に手渡した。
「あ、ありがとう」
戸惑いながらお礼を言うと、にっこり微笑む。
「キッチンにお弁当を置いてきたから、一つ食べていいわよ」
じゃあねと呆気にとられているそらを置いてけぼりにして、彼女は颯爽と門から出ていった。
ぽたり。
そらの額から汗が落ち、Tシャツを濡らした。もう濡れていない所はないくらいだが。
ペットボトルは冷えていた。キャップを回し一口飲む。
「うまい」
ごくごくごく。
一気に飲み干して、自分の仕事の成果を見渡す。
獣道が少し広くなった程度だ。
「取り敢えず道幅1メートル位にはしたいな」
もう少し頑張るか。
そらはペットボトルを玄関前に置いて、また鎌をふるい始めた。
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