掲示板の書き込み

1/2
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ

掲示板の書き込み

【うちに座敷わらしがいます。】 1、黒井  最近、祖父母が亡くなって空き家になった家を親父から管理するように言われて引っ越したのが事の始まり。まぁ、古いけど広い日本家屋で庭とか結構しっかり手入れされてたから正直めちゃくちゃラッキーって思ってた。  前住んでたアパートは、隣がガラの悪いヤンキーで夜中も友達連れ込んで騒いでたし、逆隣のキャバ嬢は俺を見るといっつも睨んできて挨拶すらしないしで最悪だったから、正に地獄に仏!俺は大喜びで引越しの準備した。  幸いフリーターで辞めるのは簡単だったし、一応プログラミングの技術とか   持ってたから在宅で働くことも出来るし……いや、マジで祖父母様様だわ(笑)そんな訳で引っ越してきて速攻仏壇にじぃちゃんとばぁちゃんの好物お供えしといた。俺ってば、優しい(笑) ーーーーーーーーーー  夜中、暇になってネットを徘徊していると奇妙なタイトルのスレッドを見つけ興味本位で開いてみた。ビール片手に、買っておいたスモークサーモンをつまみにレスを拝見する。  自分も安いボロアパートに住んでいて隣近所の騒音には悩んでいたので、スレ主の書き込みには共感を覚えるものもあった。 「にしても、庭付き一戸建てか……古いみたいだけど、羨ましいな。 …………俺もそんなとこ住んでみたいわ」  そんな本音を呟きながら画面をスライドして続きのレスの読む。 ーーーーーーーーーー 2、黒井  まぁ、初日は荷物整理とかでバタバタして終わった。でさ、最初にも書いたけど、結構広い家なもんだから見てない部屋とかもあって。翌日は朝から、家の中を探索して回ることにしたんだ。  もしかしたら、なんか金目のもんとかあるかもしんないし(笑)  期待に胸躍らせて、俺は持ってきた煎餅布団に横になり布団を被って就寝した。んで、翌朝。  早速奇妙な事が起きたんだ。目覚めた俺は、まず祖父母の仏壇に挨拶しなきゃって行ったんだけどさ。  おかしいんだよ!  昨夜、俺がお供えしたはずのじぃちゃんばぁちゃんの好物の豆大福と水ようかんがどこにもないの!  老舗和菓子屋で買ったやつで結構高かったから、俺も食べんの楽しみにしてたのにさ!  でも、昨日この家には俺と引越し業者しか来てないんだよ。まさか、引越し業者がかってに仏壇のもん持ってくわけないしさ……で、もしかしたら泥棒かもって慌てて家中見て回ったんだけ。  どこの鍵も空いてないし、荒らされた痕跡もない。だから、流石に気味悪くなって親父に電話したわけ。  そしたらさ 親父「もしもし、どうした?」 俺「どうしたじゃねぇよ!この家なんか変なんだけど! 昨日買ってきてお供えしたじぃちゃんばぁちゃんの好物が一晩で消失した!」 親父「なんだそれ(笑)どうせ、お前が寝ぼけて食ったんだろ。 朝っぱらから馬鹿な電話してくんじゃねぇよ。こっちはニートのお前と違って暇じゃないんだ」 俺「なっ!俺はニートなどでは断じてない!俺は、これからビックになるんだ!」 親父「おーおーそうかそうか。んじゃ、ビックになったら親孝行してくれよ。 楽しみにしてるからな」 俺「おう!ハワイに連れてってやるから楽しみにしとけ!」 親父「ハワイ?俺は、飛行機苦手なんだよ。黙って箱根の温泉にでも連れてってくれ。 じゃあ、俺はこれから仕事だから切るぞ。またな」 俺「ん!またな…………あれ?なんで電話したんだっけ」 ーーーーーーーーーー  俺は思わず飲んでいたビールを吹き出してしまう。 「おまっ……アホかこいつ ? !  てか、自分の親からニート認定されとるし……大丈夫かよ」  顔も知らぬスレ主が少し心配になった俺だが、正直余り人の事は言えないかもしれない。ニートでは無いが、ブラック企業でサービス残業ばかりやらされ其れなのに給料は雀の涙で未だ親の仕送りを頼りにしている。 「……はぁ、空から金塊でも降ってこねぇかな」  そんな馬鹿げた事をボソッと呟きながら、時計に目をやると23時を指していた。明日は久々の休みだ。  何時もなら早目に布団へ入り、昼までぐっすり寝るのだがスレッドの内容が気になる。まだ、肝心のスレタイに書かれている座敷わらしの話も出てきていないし…… 「読み終わってから寝ても別に良いよな……明日も特に予定は無い。 …………よし、久々に仕事以外の事で徹夜しますか ! 」
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!