自分と言う殻に閉じ籠もっていた私へ

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 私の心のどこかの部屋に、孤独な私が眠っている。 「楓(かえで)ちゃんってちょっとバカだよね」 「変わってるって言うか……頭足りない感じ?」 「わかるー」 (ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい)  逃げるように私はその場からいつも消えた。クラスではいつも1人で本を読んでいた。誰にも深入りしないように努力した。そうすれば、きっと誰も私を責めないから。  どうか許して。私は我慢するから。だから、責めないで、怒らないで。駄目な私を叱らないで。 「ねぇねぇ、皆で遊ばない?」  幼稚園で1番人気の子が叫んだ。 「まーぜーてー!」 「いーいーよー!」 「あーりーがとー!」  私も心の中で、嘆くように苦痛な声を叫んだ。  わかっていたから。私はバカで、愚鈍で、出来損ないで。だっていつだってお母さんは私を罵ったし、お父さんは私をぶった。
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