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私には、ひとつ気になっていることがありました。
「あ、の……ジェイコブ様をマリアンヌに紹介した時、私てっきりジェイコブ様がマリアンヌに見惚れているのかと思いまして……それで嫉妬して、でしたらマリアンヌを婚約者になさればいいと強引に進めてしまったのですが……」
「あぁ、あれは……僕の友人が密かに慕っている女性が、リリーの妹だったと知って驚いていたんだ」
「そ、そうでしたのね……」
私ったら、なんて恥ずかしい勘違いをしていたのでしょう。
翌日、私はお父様とお母様に事の顛末をお話いたしました。
「いやー、良かった。マリアンヌから偽の婚約話を持ちかけられたときは、いったいどうなることかと肝を冷やしたが、ようやくふたりの気持ちが通じ合って安心した」
「ほんとですわね。見ていてもどかしかったですわ」
「お父様、お母様……ご心配をおかけして、申し訳ございませんでした」
お父様とお母様が優しい眼差しで微笑まれました。
「何年年を重ねても、夫婦で話し合うことは大切だ。これからは、自分の中で解決することなく、不安になったり、悩んだりした時は、それを打ち明け、ふたりで解決していけばいい。そうして、喜びは2倍に、悲しみは半分になるのだから」
「お父様とお母様も、そうして少しずつ絆を深めていきましたのよ」
「はい、分かりました」
マリアンヌが後ろから抱きつきました。
「リリーお姉様、良かったですわね!」
「えぇ、マリアンヌのおかげですわ」
私は振り返ると、マリアンヌと微笑み合いました。
マリアンヌは、私の可愛い自慢の妹ですわ。
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