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絶望する私に対し、マリアンヌはあろうことか微笑んでいました。
「ようやく、おふたり素直な思いを伝えることができましたわね」
『えっ!?』
ジェイコブ様と声を合わせて驚きます。
「私、ジェイコブ様がリリーお姉様を好きなこと、嫉妬させたくてあんな発言したこと、最初から分かっていましたわよ。それから、リリーお姉様が意地を張って、私をジェイコブ様の婚約者にしたことも。
おふたりとも好き合っていらっしゃるのにずっと気持ちを伝えられずにどんどん拗らせていくばかりですので、見ていてハラハラいたしましたわ」
「で、ですが……私はイルアード侯爵との婚約が……」
「あれは、嘘ですわ」
「う、嘘!?」
「えぇ、お父様とお母様、それからジェイコブ様のご両親にもご協力いただいて、ライバルを登場させることでジェイコブ様を鼓舞させようと作戦を立てましたの。秘密裏に進めるの、大変でしたのよ」
「マリアンヌ……」
「あ、私……申し訳ないのですが、ジェイコブ様は好みではありませんので。私には、ちゃんと心に決めた方がおりますの」
ジェイコブ様が肩を落としました。
「マリアンヌ……すまない。君にも、迷惑をかけてしまって」
「フフッ、仕方ないですわ。未来のお義兄様のためですもの。私、お義兄様としては、ジェイコブ様のこと好きですから。なんせ、リリーお姉様を幸せにできるのは、ジェイコブ様しかいらっしゃいませんもの」
「マリアンヌ……」
「それに、ジェイコブ様と婚姻されるのでしたら、すぐにリリーお姉様に会いに行けますしね。遠方に嫁ぐだなんて、私が許しませんわ」
「ありがとう、マリアンヌ」
私は、改めてジェイコブ様を見つめました。
「ジェイコブ様……私は、婚約するずっと前からジェイコブ様をお慕いしておりました。ジェイコブ様といると緊張してしまい、うまくお話できず……誤解を招いてしまい、申し訳ございませんでした。これからは、もっと素直に気持ちをお伝えできるよう、努力いたしますわ」
「僕こそ、すまない。自分の気持ちを伝えず、君の気持ちを確かめることもせず、君の気持ちを測ろうとして間違ったやり方をしてしまった。これからは、もっと話していこう。いい夫婦に、なれるように……」
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